おはようございます、本日の投稿は株式会社GUILD GROUP(ギルドグループ)が担当します。
朝、玄関へ向かうと、いつもと違う光景が目に入りました。
ドアに貼られた一枚の張り紙。
そこには、入居者の名前と短い言葉が書かれていました。
文章の中には”退去します”の文字。

胸の奥に小さな不安が広がります。急ぎ確認すると、観察所から「一度来て欲しい」との連絡が入りました。
どうやら入居者が自ら駆け込み、事情を話したとのこと。
現地へ向かう道すがら、張り紙の意味や、本人の気持ちを想像します。
到着すると、入居者は少しうつむき加減。
それでもこちらの顔を見ると、安心したような笑みを浮かべました。

話を聞くと、「寂しくて刑務所に戻りたいと思った」と正直に打ち明けてくれます。
刑務所では刑務官がいつも声をかけてくれる。
人の温かさを感じられる日常がそこにあった――だから、そのぬくもりを求めてしまったのだと。
けれど、話を続けるうちに表情が変わっていきます。
「やっぱり社会にいたい、連れて帰ってください」。その一言に、強い決意と少しの安堵がにじんでいました。

帰り道、車の窓から差し込む朝日がやけに明るく感じられます。
施設に戻れば、また日々の生活が待っている。
食事をし、掃除をし、誰かと何気ない会話を交わす。
その一つ一つが、社会での暮らしを支える小さな支柱です。
もちろん、寂しさや不安はこれからも訪れるでしょう。
それでも、そのたびに支援の手を差し伸べられる存在でありたいと感じました。
刑務所の中では得られない自由も、社会にはあります。
選択の幅や、未来への可能性もまた広がっています。
今回の出来事は、支援者にとっても「寄り添うことの意味」を再確認するきっかけになりました。
張り紙一枚から始まった朝が、こうして再出発へとつながったのです。