家庭の中で見えない苦しみと向き合う支援│母と娘の面談から感じたこと

 おはようございます、本日の投稿は株式会社GUILD GROUP(ギルドグループ)が担当します。

 ある日、「母親からの暴言がつらく、家を出てきた」と訴える25歳の女性が来社しました。

 統合失調症を抱えながら、日々の生活に限界を感じていた様子です。

 彼女は友人の家に身を寄せていましたが、「いつまでもお世話になれない。助けてほしい」と、友人に付き添われて相談に訪れました。

 その表情には疲れと不安、そして小さな希望が混ざっていました。

 

 後日、母親にも話を聞く機会を設けました。

 厳しい態度を想像していたものの、実際に会った母親は意外にも低姿勢で、こちらの話にも真摯に耳を傾けてくれました。

 「本人のためになるなら、どうかお願いします」と静かに語る姿に、複雑な思いが滲んでいました。

 支援の現場では、どちらか一方の話だけで判断することはできません。

 家庭という閉ざされた場所の中には、外からは見えない背景や感情が幾重にも重なっているのだと感じます。

 

 この面談を通して、支援とは誰かの味方になることだけではないと改めて実感しました。

 母親にも母親の苦しさがあり、娘には娘なりの痛みがあります。たとえ双方が「わかってほしい」と願っていても、伝わらないまま時間だけが過ぎていく現実があるのです。

 そんな中で、支援者としてできることは、双方の声を丁寧に拾い上げ、少しでも歩み寄れるような環境を整えることだと考えています。

 

 家庭内の問題は、外からはただの不仲に見えることもあります。

 しかし、心の奥に積み重なった小さなすれ違いが、やがて大きな断絶を生むこともあるのです。

 誰かがその間に入り、声を聞くだけで、ほんの少し関係が変わることもあります。

 今回のケースは、そのほんの少しがどれほど大切かを教えてくれました。

 

 見えない痛みに手を差し伸べるのは容易ではありませんが、理解しようとする姿勢がある限り、支援の扉は閉ざされないと信じています。

 面談を終えたあと、彼女の表情にほんのわずかな安心が見えたことが、何よりの救いでした。

 NPO法人os Forward

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